ランチェスター経営とSEO戦略の共通項に学ぶ。SEO弱者の中小企業が取るべき差別化と1点集中

Lanchester's laws

ランチェスター経営戦略をご存知でしょうか?

ランチェスター戦略は企業の経営戦略として広く知られていますのでご存じの方も多いと思います。

元々は、英国のエンジニアだったフレデリック・ランチェスター氏(1868年生~1946年没)が第一次世界大戦に際して発表した2つの軍事的法則が下敷きとなっています。(その後、第二次世界大戦時に米国の研究者たちがそれを改良し実戦において成果を出しました)

日本では、戦後にマーケティングコンサルタントの田岡信夫氏がこの法則を企業の経営戦略に応用して戦略論を構築したと言われています。

私はランチェスター戦略の専門家ではありませんが、何冊かの書籍を通してそのエッセンスを学びました。

あらためて感じたのが「ランチェスター経営戦略は私たちのビジネスであるSEO対策の考え方と共通している部分が多いなぁ」ということです。

そこで、ランチェスター戦略をもとにした中小企業が取るべきSEO戦略をまとめました。「なかなかSEOで成果が出ない」、「Webサイトを開設したばかり」の中小企業のWeb担当者の方など参考にして頂ければ幸いです。

ランチェスターの法則とは

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フレデリック・ランチェスター氏(1868生~1946没)

ランチェスター氏が発表した軍事法則には2つの法則があります。

ランチェスター第1の法則

第1の法則と呼ばれるものが一騎打ちの戦いです。

ある戦闘で一個師団どうしが1対1で対決したとします。その場合に勝敗を決するのは「軍事力=武器性能×兵力数」と定義しています。つまり、一騎打ちでは“高性能な武器を持つ”、“兵力数が相手より上回る”この2つで有利な側が戦闘に勝つとしています。

そして、もし相手がこの2点(武器性能、兵力数)で自分たちよりも優れていると分析したら「戦わない」。あるいは自分たちに有利な「局地戦に持ち込む」べきであると説いています。これがいわゆる「弱者の戦略」です。

例えば、日本の戦国時代においては、第1の法則で連戦連勝したのが武田信玄です。信玄は諜報戦に優れており、敵を分析して勝てると判断した時しか合戦しませんでした。そして、武器性能を上げることに腐心して「騎馬軍団」という強力な武器を作り出しました。

ランチェスター第2の法則

第2の法則は、集団対集団の戦いのことです。同じく戦国時代に例えると関ヶ原の合戦のような西軍と東軍に別れた戦いと言えば分かりやすいでしょうか。

この法則は「軍事力=武器性能×兵力数の2乗」となります。つまり、武器性能が同じで兵力が2乗であれば相手を圧倒できるという「強者の戦略」になります。

関ヶ原の合戦では、当初は兵力数は西軍が上回ってました。(武器性能は同じ)しかし、徳川家康が小早川秀秋へ調略をおこない、寝返らせることで東軍(徳川)の兵力数が西軍(石田)を圧倒することになり第2の法則の状況になって東軍が勝ちました。

参考:ランチェスターの法則wikipedia

日本ではランチェスター戦略は経営戦略として発展

日本では、ランチェスターの法則を研究家やコンサルタントの人たちが企業経営に応用して、さまざまな理論が構築され多くの書籍が発行されています。また、セミナーや公演などもおこなわれています。

そこで強調されているのが、市場占有率が低い“弱者”である中小企業が取るべき戦略と市場占有率が高い(1位)“強者”が取るべき戦略論です。それぞれ見ていきましょう。

弱者の戦略

ランチェスター経営戦略では、マーケットにおいてシェア1位が強者で2位以下は弱者とされています。

弱者の側にいる限りラットレースから抜けだせず経営的な安定はありません。また、弱者は強者を目指さなくてはならないとしています。

そして弱者が強者になるためには、以下のような戦略をもとに局地戦を仕掛けてそこで勝利を重ねていかなくてはならないと言ってます。

  1. 競合との差別化
  2. 一点に集中
  3. マーケットの絞り込み
  4. 強い相手とは戦わない


強者の戦略

一方で強者の戦略は、2位以下を常に圧倒しなくてはならないとしています。

そのためには、資本力をもとに常に新しい製品・サービスと強い営業力を投入します。そして、2位以下の動きをマーケティングして、新しい戦略が出てきたらそれを潰すのが定石としています。

要するに総合力で弱者を圧倒し続けることが重要です。

  1. 営業力で圧倒する(人員)
  2. マーケティング力で圧倒する(情報力)
  3. 予算で圧倒する(広告宣伝費)
  4. 商品力・サービス力で圧倒する(企画・開発)

中小企業が取るべきSEO対策

このような「弱者の戦略」、「強者の戦略」をSEO対策に置き換えて考えてみると企業が取るべきSEO戦略が見えてきます。

特にマーケティング弱者である中小企業の場合には、目指すべきSEO戦略が明確になるのではないでしょうか。

例を挙げてみましょう。

競合との差別化

強者(大企業)の場合は予算・人員が潤沢です。Web専門の部署があったり、中にはインハウスSEOの専任チームが組まれているような企業もあります。

これらの強者は先行投資できる予算も潤沢ですので大きなSEO予算が組めます。(コンテンツ制作、ソーシャル運用など)

さらに、大企業は社会的な認知度が高くブランド力があるため、Web上で発信するコンテンツは多くの人の目に留まります。結果的に記事はシェアされやすくナチュラルリンクも付きやすくなります。

SEOにおいては大企業と中小企業はスタートラインが違うケースがほとんどです。弱者が強者と同じことをしても勝てる見込みは薄くなります。

やみくもにビッグキーワードを狙っても勝負は厳しいのが現実です。ですので弱者が取るべき戦略は、まずはコンテンツとキーワード設計の差別化からです。

一点に集中

前述したように大企業は圧倒的な資本を武器に市場を専有しようとします。しかし、その中でも必ず盲点はあり勝てる土俵があるはずです。

弱者のSEOは、まず勝てるカテゴリを探し出してそのカテゴリに良質なコンテンツを集中投下してサイトの内部最適化をおこないます。それによりカテゴリリーダー(強者)になれる可能性が高くなります。

この一点集中を徐々に広げて行けば市場占有率も同時に上がっていくことになります。

マーケットの絞り込み

マーケットの絞り込み戦略とは、すなわち小さなマーケットでシェアNo.1を目指すことです。

「自社の顧客は誰なのか?」、「誰に何を訴求したいのか?」というペルソナ(顧客像)設計とともに、「勝てる地域はどこなのか?」という地域性の絞り込みが重要になります。

そして、絞り込んだマーケット(カテゴリ、キーワード)に対して大企業群(強いサイト)よりも強力に良質コンテンツの一点集中投下をおこないます。

強い相手とは戦わない

繰り返し述べてきましたが、強者との真っ向勝負を避けるというのがランチェスター戦略での弱者が取るべき戦略の重要なポイントです。

自社サイトよりも総合力で上回る大企業群(強いWebサイト群)と同じ土俵で勝負せずに勝てる場所を見つけることです。

SEO設計(キーワード、コンテンツ)の際には、強いサイトがひしめくレッドオーシャンに飛び込むよりも、強い相手のマークが薄いブルー・オーシャンな場所で戦う方が、早くアクセスアップ(上位表示化)し時間的ロスや機会損失が少なくなります。

まとめ

強者も最初から強者だった訳ではありません。着実に力を付けていきシェアを徐々に増やして強者に近づいていくのです。

今はSEO弱者であっても「武器性能(コンテンツ力、内部最適化、調査・解析力)」を上げていくことで強者がひしめくビッグキーワードにチャレンジしていくことは可能です。

但し、そうするためには己と敵を知ることが重要です。

私たちの役目は、軍師となりクライアント企業の「武器性能」、「分析力」を上げるためのサポートをおこないSEO強者(勝者)に導くことです。

小が大に勝つSEO対策を応援します。私たちと一緒にチャレンジしませんか。

ABOUTこの記事をかいた人

SEOビジネスに携わって約10年。お客様のWebサイトの問題解決、売上げアップのSEOサービス提供がモットー。趣味は、サルサ、文楽、映画、読書など。しかし、経営者たるもの趣味は封印して仕事だと気合いを入れる毎日。